相続発生後、被相続人の財産は、プラスであれマイナスであれ、いったん相続人全員の共有財産となります。
 この共有財産を、だれがどれだけ受け取るのかを決めることを遺産分割といい、そのための話し合いを遺産分割協議といいます。
 なお、生命保険金や死亡退職金は、相続発生と同時に受取人のものとなりますので、遺産分割の対象とはなりませんが、
相続税の対象とはなります。
 また、お墓や仏具といった祭祀財産も遺産分割の対象とはならず、相続税の対象ともなりません。
 もっとも、生命保険金や死亡退職金について、受取人以外の人が権利を主張したり、祭祀財産について管理を引き受ける人がいなかったりした場合には、これらについても遺産分割協議の中で話し合われることもあります。
 特に生命保険金や死亡退職金については、その金額が大きければ大きいだけ、他の相続人との間の不平等が際立つことになりますので、その金額相当部分について遺産分割協議で減額されることも多くあります。
 マイナスの財産の中で特に注意が必要なのは連帯保証債務です。被相続人が誰かの債務を連帯保証していた場合、相続人は相続によってこの債務も相続することになります。
 したがって、相続の際には安易に承認をせず、被相続人のプラスとマイナスの財産について、きちんと調査して把握しておくことが必要です。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。