別の項目でお話しした通り、普通方式の遺言書の種類には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つがあります。
このうち、②の公正証書遺言と③の秘密証書遺言については、作成に公証人が関与しているため、これらの遺言書がある可能性がある場合には、公証役場に行って確認することができます。
②の公正証書遺言については、作成した公証役場に原本が保管されていますので、相続人であればその内容を確認することができます。
訪ねた公証役場が公正証書遺言の原本を保管している公証役場ではない場合でも、平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、公証役場にある遺言登録・検索システムを使って、どの公証役場に公正証書遺言の原本が保管されているか、調べることができます。公正証書遺言の原本を保管している公証役場がわかったら、その公証役場に謄本の作成をお願いすれば、公正証書遺言の内容を知ることができます。
一方、③の秘密証書遺言については、公証役場に行っても作成されたかどうかは確認できますが、その内容までは確認できません。
③の秘密証書遺言の内容を確認するためには、遺言書自体を探し出す必要があります。
①の自筆証書遺言については、今までは、書かれたかどうかを確認することはできず、また、遺言書自体を探し出すまで、その内容を確認することもできませんでした。
そこで、別の項目でお話しするように、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新設され、自筆証書遺言書を作成した遺言者が、遺言書を法務局に保管すれば、遺言者の死亡時に遺言者が指定した人(相続人でなくてもかまいません)に対し、自筆証書遺言書が法務局に保管されていることを知らせることができることになりました。また、相続人は相続開始後、法務局で遺言書を閲覧することができます。
また、この制度を利用した場合、遺言書の検認が不要というメリットもあります。
もっとも、この制度を利用したとしても、保管時に法務局で遺言書の内容が有効かどうかを確認してくれるわけではなく、自筆証書遺言書のデメリットは依然として残ります。
どの遺言書を書くのかは、状況もふまえてよくご検討されると良いでしょう。