遺産分割後に遺言書が発見され、それが遺産分割の内容と異なっていた場合には、各相続人は自分の相続分を侵害されたと主張して、遺言書にしたがった再分割を求めることができます。
 これを相続回復請求権といいます。
 相続回復請求権とは、広くは、相続人ではないのに相続人であるかのようにふるまっている人(これを「表見相続人」といいます。)や、自分の正当な相続分を超えて相続財産を取得した他の相続人に対し、相続財産の取り戻しを請求する権利をいいます。
 ただし、相続回復請求権は、自分の相続分を侵害されたことを知ったときから5年間で時効消滅するほか、相続開始の時から20年を経過したときも消滅します。また、この20年には時効の完成猶予や更新の規定は適用されないこととされています。
 これらのことを考えると、遺言書があるのかどうか、またそれがどんな内容なのか、すぐにわかる公正証書遺言書により遺言書を作成することが望ましいといえるでしょう。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。