贈与税の特例として、現在、①「住宅取得等資金の贈与の非課税」、②「教育資金の一括贈与の非課税」、③「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税」の3つの制度があります。
 このうち、①は、20歳以上の人が、自分が住むための家屋の新築、取得、増改築のための資金として、父母や祖父母など直系尊属から金銭の贈与を受けた場合、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となるという制度です。
 贈与税の配偶者控除との違いは、直系尊属からの贈与である点と、金銭に限られ、不動産自体は除外されているという点です。
 非課税限度額は家屋の種類や契約の締結日によって異なりますが、令和5年12月までの贈与については500万円または1000万円までです。
 なお、この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の合計所得金額が一定額以下であること、原則として過去の贈与税申告においてこの非課税制度の適用を受けたことがないこと、家屋の取得などの相手方が一定の特別の関係がある人ではないこと、贈与の翌年の3月15日までに、贈与を受けた金銭の全額を充てて家屋の新築、取得、増改築をすること、などが必要です。
 家屋についても要件があります。
 また、この特例の適用を受けるためには、贈与税が発生するかどうかにかかわらず、贈与税の申告書を提出することが必要です。
 本特例は令和3年12月までの予定でしたが、令和5年12月まで延長されることになりました。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。