贈与税の特例の1つに「教育資金の一括贈与の非課税」があります。
 これは、30歳未満の人が、教育資金として、父母や祖父母など直系尊属から、金融機関との契約に基づく信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を金融機関に預入をした場合、書面による贈与により取得した金銭により金融機関で有価証券を購入した場合に、その信託受益権または金銭の価額のうち1500万円までの金額については、贈与税が非課税となるという制度です。
 教育資金についても要件があります。
 教育資金として、父母や祖父母など直系尊属から金銭の贈与を受けた場合、それが必要な都度、直接これらに充てるためのものである限りは、そもそも贈与税の対象とはなりません。これを俗に「都度贈与」といいます。
 教育資金の一括贈与の非課税の特例は、都度贈与とは別に、あらかじめ金融機関を利用して一括贈与しておく場合に適用される制度で、都度贈与と併用することができます。
 なお、この特例の適用を受けるためには、金融機関を経由して、信託がされる日、預入をする日または有価証券を購入する日までに、申告書を提出することが必要です。
 また、贈与を受けた人が30歳になったときに残額があった場合には、その残額はその時点で贈与されたものと扱われます。
 <追記>
 本特例の対象は令和3年3月までの贈与の予定でしたが、令和5年3月までの贈与に延長されることになりました。
 非課税限度額は1500万円のままです。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
同事務所代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。