(1) 2024年1月から施行される税制改正のうち、生前贈与に関していくつか大きな改正がありました。
(2) その1つは、教育資金の一括贈与の非課税制度の見直しです。
  別の項目でお話しした通り、生前贈与の特例として、①住宅取得等資金の贈与の非課税、②教育資金の一括贈与の非課税、③結婚・子育て資金贈与の一括贈与の非課税、という3つの制度があります。
  これらはもともと令和5年(2023年)3月31日までとされていましたが、そのうち、②教育資金の一括贈与の非課税については、今回の改正で令和8年まで3年間、③結婚・子育て資金贈与の一括贈与の非課税については、今回の改正で令和7年まで2年間、それぞれ期間が延長されました。
(3) 延長されましたが、制度自体は内容が厳しくなっています。
  ②については、これまで、贈与者(祖父母等)の相続発生時に贈与額の残額があった場合、受贈者(孫等)が、 a)23歳未満である、 b)在学中である、 c)教育訓練を受講している、などの場合は、贈与額の残額のうちの一定額(管理残額)については相続税の対象とはなりませんでした。
  改正後は、贈与者の相続財産が5億円を超えるときには、a~cの場合であっても管理残額は無条件で相続税の対象となることになります。
  そして、受贈者が贈与者の子でない直系卑属であるときは、相続税の2割加算の対象となります。
  また、贈与者の生存中であっても、受贈者が30歳に達した場合には、管理残額に対して贈与税が課税されます。
  そして、その税率については、直系尊属からの贈与であっても軽減された特例税率ではなく一般税率が適用されます。
  また、③については、贈与者の生存中であっても、受贈者が50歳に達した場合には、管理残額に対して贈与税が課税されます。
  そして、その税率については、直系尊属からの贈与であっても軽減された特例税率ではなく一般税率が適用されます。