別の項目でお話しした通り、遺留分侵害額請求は内容証明郵便で請求するのが一般的です。
 請求により相手方との間で交渉し、双方が合意する金額で決着させることになります。
 しかし、考慮すべき生前贈与の範囲や財産の価格の評価で合意が得られず、話し合いで決着しないこともあります。
 その場合は裁判手続により決するしかなく、地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起して判決を得ることで決着させることができます。
 もっとも、遺留分侵害額請求は訴訟を提起する前に原則として調停を経なければならないとされているため(調停前置主義)、訴訟提起の前にまず家庭裁判所に対して調停申立をし、家庭裁判所における調停の中で双方が合意できる結論を探ることとなっています。
 ただし、調停前置主義は絶対のものではなく、これまでの交渉の経緯から、相手方が絶対に調停において合意に応じないと認められるような事情があれば、調停を飛ばして訴訟提起をすることもできます。
 いずれにせよ、話し合いで決着しない場合でも、裁判所において何らかの形で決着をつけることは可能です。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
同事務所代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。