別の項目でお話しした通り、相続税対策(相続評価額対策)として、賃貸物件の建築や購入を利用して相続税計算の基礎となる財産の評価額を下げて、相続税額自体を減らす方法があります。
 具体的には、土地を所有している場合に、金融機関から借り入れをしてアパートなどの貸家を建築することで、相続税の計算の際に、その借入金を債務として財産から控除することができます。
 また、建物や土地は貸家や貸家建付地として評価額の軽減というメリットを受けることができます。
 さらに、条件を満たせば小規模宅地等の特例という相続税の特例により、貸家の敷地については、評価額の軽減というメリットを受けることもできます。
 もっとも、このような借入金は金額が大きく、期間も長いのが通常です。相続税対策だけではなく、貸家経営が成り立ちうるのかという観点からもしっかりとした検討が必要です。
 なお、近時、明らかに相続税対策と思われる不動産の購入について、これを否定する判決が出ています。
 詳細は別の項目でお話ししたいと思います。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
同事務所代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。