別の項目でお話しした通り、相続税対策(納税資金対策)として、生命保険を利用して、納税資金を準備する方法があります。
遺産分割協議が長引き、相続税の納付時期までに遺産分割協議がまとまらなかった場合であっても、相続税についてはいったん法定相続分で相続したものとして、申告、納付をしなければなりません。しかし、この場合には相続税額に対応する現金が手元にないこともあります。
また、相続財産に不動産が多い場合、相続税額が相続した現金を上回ることもあります。
このような場合に備えて、被相続人が生命保険に加入して相続人を受取人にしておくことで、相続人は生命保険金として現金を受け取り、相続税の納付にあてることができ、不動産の売却や物納などを避けることができます。
また、生命保険金には500万円×法定相続人分の非課税枠があり、相続税の計算に際して税額を軽減する効果もあります。
そしてこの場合の法定相続人には相続放棄をした相続人も含めて良いこととされています(ただし、相続放棄によって相続人でなくなった者は除外されます)。
さらに、生命保険金には、預貯金とは異なり口座が凍結されるおそれがなく早期に受け取れる、受取人固有の財産になるため争いが起きづらい、原則として特別受益として持ち戻しの対象とはならない、といったメリットもあります。相続において一度は検討しておくべきでしょう。