別の項目でお話しした通り、相続税対策(相続評価額対策)として、生前贈与を利用して相続税計算の基礎となる財産の評価額を下げて、相続税額自体を減らす方法があります。
 その際、不動産を贈与する場合には、登録免許税や不動産取得税について考慮しなければならないということは別の項目でお話ししました。
 では、不動産を贈与する場合、土地と建物のいずれを選択するのが有利でしょうか。
 一般に、建物は年数と共に価値が下がりますが、土地はそのようなことがなく、場合によっては価値が上がることもあります。
 将来の相続税の課税価格を低く抑えたいと考えるのであれば、土地を選択するのが有利です。
 ただし、建物については1200万円を限度として不動産取得税の課税標準額を減額する特例があります。
 また、建物と同時に土地を贈与した場合、要件に応じてその不動産取得税の全部または一部を軽減する特例もあります。
 これらを念頭に置いた上で、土地または建物のいずれかのみを贈与するのが良いか、または土地とその土地上の建物を同時に贈与するのが良いか、相続税だけでなくその後の権利関係も考慮した検討が必要です。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。