寄与分とは、被相続人の生前に、特定の相続人が被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合の、その維持ないし増加分をいいます。
このような寄与分が認められる相続人がいる場合には、遺産分割の際、公平になるように、相続財産から寄与分の額を控除した上で各相続人の相続分を計算し、寄与分が認められる相続人については、その相続分に寄与分の額を加算した額を具体的な相続分とすることが、民法で定められています。
寄与分の例として、民法は、①被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、②被相続人の療養看護、を例に挙げていますが、寄与分が認められるケースはあまり多くありません。それは、寄与分は、財産の維持や増加について「特別の寄与」をした場合に認められると民法が規定しているからです。
①でいえば、単に親の事業を手伝っただけでなく、相続人が主導的に関わった事業において大幅な利益が上がった場合や、多額の出資をした場合、また②でいえば、通常、期待される以上の看護を無報酬で長期間にわたり行った場合などが「特別の寄与」をした場合にあたると考えられます。
なお、従来、相続人以外の者には寄与分は認められず、批判も大きかったところでしたが、民法改正により、相続人以外の親族について、②と同様の「特別寄与料」という制度が新設されました。
特別寄与料が認められる親族は相続人ではないため、相続財産から遺贈を受けた形になります。
この場合、2割加算の相続税が課税されます。