遺産相続の際によく問題となるのは、相続財産を管理していた特定の相続人が、相続の前後に財産を使い込んでしまう、いわゆる「相続財産の使い込み」です。
被相続人の預貯金を勝手に引き出す、被相続人が加入している保険を勝手に解約して、解約返戻金を受け取る、被相続人の不動産を勝手に売却して代金を受け取る、被相続人の株式を勝手に取引したり換金したりする、といった相談が後を絶ちません。
このような行為がなされている疑いをもったら、まずは弁護士にご相談することをお勧めします。
このような行為が相続開始前になされている場合には、その相続人に対して財産開示を求めたり、銀行口座の明細を取り寄せたりして、使い込みの事実があるか確認し、事実であると判明した場合には、不当利得返還請求や不法行為にもとづく損害賠償請求といった、別の訴訟を提起するという形で使い込みの返還を求めていくことができます。
また、このような行為が相続開始後になされている場合には、その使い込みについて遺産分割協議の中で主張してその相続人の相続分を減らすことを求めていくことができます。
なお、不当利得返還請求権は、相続が発生してから5年または使い込みを知った日から10年で、また、不法行為にもとづく損害賠償請求権は、使い込みを知った日から3年で、それぞれ時効により消滅してしまいますので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。