高齢化社会を受けて、被相続人の高齢化も進んでいます。
また、相続には「代襲相続」という制度があり、相続開始時に被相続人の子がすでに死亡している場合には、その子(被相続人の孫)が相続することになっています。
その結果、相続人が10人以上というご相談も珍しくなくなってきました。
このように相続人が多くなるといざ遺産分割協議をしようとしても、相続人の中に行方の分からない人がいることも時々見かけます。
遺産分割協議は、全員の同意がなければ成立しないため、相続人の中に行方の分からない人がいる場合、その人に法定代理人がいない限り、そのままでは遺産分割協議を成立させることはできません。
このような場合には、2つの方法があります。
1つ目は、「不在者財産管理人」を選任する方法です。
不在者財産管理人とは、その名の通り、不在者の財産を管理する役割を担う者のことで利害関係者からの請求により裁判所が選任します。
不在者の財産の管理の中には、不在者に代わって遺産分割協議に参加し、合意することも含まれます。
2つ目は、「失踪宣告」という制度を利用する方法です。
失踪宣告とは、行方の分からない人など、生死不明の人について、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
生死が7年間不明である場合に、利害関係者からの請求により裁判所が宣告します。
これにより、その本人は、法律上は死亡したものとみなされるため、その本人に相続人がいればその相続人が遺産分割協議に参加することになりますし、その本人に相続人がいなければその本人を除外して遺産分割協議をすることが可能となります。
なお、後にその本人が生きていることが分かった場合には、利害関係者からの請求により失踪宣告を取り消すことができます。