被相続人が亡くなったとき、遺言書を保管している人や、遺言書を発見した相続人は、すぐにその遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」という手続を申し立てなければなりません。
 なお、公正証書遺言書と、別の項目でお話しした法務局において保管されている自筆証書遺言書については、検認の必要はありません。
 検認手続とは、相続人に対して遺言書の存在と内容を知らせるとともに、検認手続の日における遺言書の内容(遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など)を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。したがって、検認手続において遺言書の有効・無効を判断するわけではありません。
 検認の手続には、相続人全員が出席する必要はありません。検認手続の申立てがあると、家庭裁判所は相続人に対し、検認期日の通知をしますが、申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各相続人の自由です。
 封印された遺言書は検認手続において相続人の立会いがなければ開封することはできません。
 また、遺言書を執行するためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要です。
 検認手続の申立てをしなかったり、検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所以外の場所で封印のある遺言書を開封したりした場合には、5万円以下の過料が科せられることがあります。
 なお、遺言書が複数見つかった場合、そのいずれもが有効なものであれば、日付の一番新しい遺言書が有効となります。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。