別の項目でお話しした通り、遺言書が発見された場合には、それが公正証書遺言や法務局で保管されている自筆証書遺言であるときを除き、家庭裁判所に提出して検認手続を経なければなりません。
それでは、検認手続を経ていない遺言書は効力がないのでしょうか。
検認手続は、「遺言書の原状を保全する手続」と解されています。
公証役場や法務局で保管されていなかった遺言書については、発見後に偽造されたり変造されたりする危険性があるため、発見された状態を保存しておく必要があり、そのため、家庭裁判所が関与する必要があるとされています。
つまり、検認は、発見された原状を保全する手続にすぎず、検認と遺言の効力は全く無関係であり、家庭裁判所の検認を経たとしても、本来無効な遺言書が有効となるわけでもありませんし、また逆に、有効な遺言書が検認を経ていないことを理由に効力を生じないとされるわけでもありません。
遺言書の効力はあくまで、遺言能力があったかどうかと、方式に違背していないかどうかによって決せられます。
詳しくはそれぞれ別の項目でお話しします。