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投稿者: kusaka

生前贈与にも遺留分侵害額請求は可能?

 被相続人が相続税対策などのさまざまな理由から相続人に対して生前贈与をすることはよくあることですが、そのために被相続人が死亡した際の遺産が少なくなっている場合、残った遺産のみを計算の根拠として遺留分を計算することは不公平です。  そこで、一定の範囲の生前贈与については、遺留分の計算の際に考慮することになっています。  考慮される生前贈与は、①相続人に対する10年以内の生前贈与(婚姻または養子縁組の…

遺留分侵害額請求が話し合いで決着しない場合は?

 別の項目でお話しした通り、遺留分侵害額請求は内容証明郵便で請求するのが一般的です。  請求により相手方との間で交渉し、双方が合意する金額で決着させることになります。  しかし、考慮すべき生前贈与の範囲や財産の価格の評価で合意が得られず、話し合いで決着しないこともあります。  その場合は裁判手続により決するしかなく、地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起して判決を得ることで決着させることができます…

居住用不動産に関する夫婦間の持戻し免除の推定

 特別受益とは、特定の相続人が被相続人から生前贈与を受けたり、遺贈を受けたりした場合のその特別の利益のことをいいます。  このような特別受益を受けた相続人がいる場合には、相続人間の公平のため、民法の規定により「特別受益の持戻し」をして各相続人の相続分を計算することは、別の項目でお話しした通りです。  もっとも、被相続人がその贈与や遺贈をした際に、「遺産分割において持戻しの計算をしなくてよい」という…

行き過ぎた相続税対策が否認された例

 相続税対策として不動産の購入が有効であることは別の項目でお話しした通りです。  しかし、国税当局は従来からこの点を問題視してきており、令和4年4月19日には、行き過ぎた相続税対策が否認された判決が、最高裁判所によって2つ出され、衝撃が走りました。  これらの事例においては、いずれも、死亡する数年前に多額のローンを組んでマンションを数億円で購入し、固定資産税評価額により評価した上でローンによる債務…

相続放棄の効果は?

 別の項目でお話しした通り、相続財産には、被相続人の不動産や預貯金といったプラスの財産だけではなく、被相続人が負う借金の返済義務や保証人としての義務など、マイナスの財産も含まれます。  相続に際しては被相続人の相続財産をプラス、マイナスともに相続する単純承認という方法が一般的ですが、マイナスの財産の方が多い場合には、単純承認では相続によって相続前よりも重い負担となってしまいます。  また、たとえプ…

遺言能力--認知症でも遺言書が書けるか?

 民法は、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」と定め、遺言書の作成についての判断能力があることを要求しています。これを遺言能力といいます。  遺言能力がない状態で作成された遺言書は無効です。  遺言書を作成する動機の1つとして健康不安等を理由に自分の死後について考え始めるということがありますが、認知症などにより判断能力が十分ではない状態で遺言書を作成した場合には、遺言能…

相続の承認とみなされる場合とは?

 別の項目でお話しした①単純承認、②限定承認、③相続放棄をできる期間はいつまででしょうか。  民法は、これを「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と定めています。これを「熟慮期間」といいます。  この期間内に①単純承認、②限定承認、③相続放棄のいずれの手続きもしなかった場合には、自動的に①の単純承認をしたことになります。これを「法定単純承認」といいます。  法定単純承認にあ…

暦年贈与と相続時精算課税制度による贈与の関係

 別の項目でお話しした通り、生前贈与には大きく、暦年贈与と相続時精算課税制度を利用した贈与の2つがあります。  贈与者から見た場合、この2つの制度は選択的で、いずれかしか適用することができません。  また、相続時精算課税制度を選択した場合、その後暦年贈与を選択することはできません。  令和5年度税制改正によって相続時精算課税制度にも1年ごとに110万円までの基礎控除額が設定されました。  この11…

令和5年度税制改正--生前贈与に関する改正③

(1) 2024年1月から施行される税制改正のうち、生前贈与に関していくつか大きな改正がありました。 (2) その1つは、教育資金の一括贈与の非課税制度の見直しです。   別の項目でお話しした通り、生前贈与の特例として、①住宅取得等資金の贈与の非課税、②教育資金の一括贈与の非課税、③結婚・子育て資金贈与の一括贈与の非課税、という3つの制度があります。   これらはもともと令和5年(2023年)3月…

令和5年度税制改正--生前贈与に関する改正②

(1) 2024年1月から施行される税制改正のうち、生前贈与に関していくつか大きな改正がありました。 (2) その1つは、相続時精算課税制度を利用した贈与における基礎控除額の制度の導入です。   別の項目でお話しした通り、生前贈与には大きく、暦年贈与と相続時精算課税制度を利用した贈与の2つがあります。   そのうち、相続時精算課税制度を利用した贈与については、これまで、暦年贈与のような基礎控除額の…

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